オンデマンド印刷とは
オンデマンド印刷とは、従来のオフセット印刷では不便であった所を解消するために生まれた印刷サービスです。
大きな違いは「印刷原版」を使用するのがオフセット印刷、使用しないのがオンデマンド印刷です。
オフセット印刷ではコスト高となる少ない部数を製作するのに適した印刷方法です。
オフセット印刷は印刷原版を作製し、原版を印刷機にセットしてインクで印刷します。一度原版をセットすれば何千何万枚もの印刷が可能です。印刷原版は高価ですが、印刷1 枚当たりの単価は安いので部数が多くなって行くほど安くなり、大量生産に優れた印刷方法です。現在、商業印刷では主流の印刷方法で品質も大変美しい刷り上がりとなります。
長所は上記の通りですが、当然短所もあります。印刷原版を作製しなければならないので、1枚の印刷でも原版コストがかかります。冊子印刷は多ページを印刷しますので、印刷原版を大量に必要とします。弊社では8P 分(4P の原版を2枚使用)を印刷するオフセット印刷があります。200P のモノクロ冊子印刷は50枚の印刷原版を必要とします。カラー印刷は4色使用するのでモノクロ印刷の4倍の印刷原版を必要とします。
これら大量の印刷原版を必要とし、更に印刷機にセットするたび、刷り出しという作業があります。インクを使用している性質上1枚目からキチンと印刷されず、50枚~ 100枚程度の試し刷りや色具合の確認をしてから、本刷りとなり用紙と時間のロスがあります。
このような工程が必要なオフセット印刷の原版コストと刷り出し作業を考慮すると少ない部数(印刷原版の材質と印刷機本体によって違いはありますが弊社では300部以下を定義しています。)は割高になってしまいます。
そこで登場したのが、オンデマンド印刷(機)です。オンデマンド印刷機は高性能プリンタを高速化・大型化して対応部数を伸ばし、カラー表現をオフセット印刷に近づけるために同じ網点方式を採用しています。現在も発展途上にあり日々進化しています。
オンデマンド印刷は印刷原版を使用しません。パソコンから直接印刷ができ、刷り出し作業も必要としませんので、オフセット印刷の短所である少ない部数、そして印刷原版を大量に必要とする冊子印刷の生産に大変優れた印刷方法です。
上記の通り印刷工程ではオフセット印刷に比べ2つの工程(原版作製、刷り出し作業)を短縮できます。また部単位(ページ順)で印刷され、製本工程の丁合作業を必要とせず、オフセット印刷に比べ3つの工程を省略し短納期での製作が可能となります。
またインクではなくトナーを使用して印刷します。トナーは細かな粒子に熱を加えて用紙に定着させます。用紙の表面に焼き付けるようなイメージで印刷するので、用紙に浸透するインキを使用したオフセット印刷に比べ上質紙、マットコート紙、コート紙など用紙の種類に依存されず光沢のある鮮やかな仕上がりになります。
短所は大量生産には不向きです。印刷原版を使用しない代わりに1枚当たりの単価が高く1枚でも1000 枚でも印刷単価がかわりません。約300部を超えると印刷原版代を含めてもオフセット印刷の単価が下回ってきます。また、印刷速度が遅くオフセット印刷では1時間に1万枚印刷出来ますが、オンデマンド印刷は4000枚しか印刷出来ません。
このような長所と短所を生かし考慮して弊社工場では生産ラインを組み日々稼働しております。
常に適正な製作料金、適切な印刷方法で冊子印刷をご提供させて頂いております。

オンデマンドカラー印刷
カラー印刷はC(青)M(赤)Y(黄)K(黒)の4つの色の掛け合わせで色を表現しています。
近年の印刷機はコンピュータ化が進みほぼ作成データの値通りにカラー表現できますので、お客様からお預かりしたデザインデータをもとに、当社標準濃度を基準に印刷させて頂いております。
印刷方法 | 品質評価 | 適正部数 |
---|---|---|
オフセット 印刷品質 | ![]() 評価 5 |
500部以上 |
オンデマンド 印刷品質 | ![]() 評価 4.5 |
500部以下 |
オンデマンドモノクロ印刷
モノクロ印刷はK(黒)のみ1色で印刷し、網点によるグレー表現も同時に出来ます。 1色しか使用しないので、カラー印刷のような高いコストをかけずに本を印刷する事が出来ます。
印刷方法 | 品質評価 | 適正部数 |
---|---|---|
オフセット 印刷品質 | ![]() 評価 5 |
600部 ~ 10,000部 |
オンデマンド 印刷品質 | ![]() 評価 4.5 |
600部以下 |
- ※1 : 品質評価は当社比較値です。適切な解像度で作成されたデータから印刷した場合です。
- ※2 : オンデマンド印刷とオフセット印刷は印刷方式が違うため解像度及び線数の数値での比較は出来ません。
数値は各機械メーカー公表値です。
オンデマンド印刷の特徴
オフセット印刷では8P 分を1 枚の用紙で印刷するため、1P がカラー3P がモノクロであっても4P 全てカラー印刷の料金になってしまいました。
しかしオンデマンド印刷では印刷原版を使用しないで1P 単位での料金設定が可能です。
オフセット印刷はインク使用していますので、上質紙などはインクを吸ってしまい色の沈みがあります。
発色を良くしようとするとコート紙を使用しなければなりませんでしたが、
オンデマンド印刷はトナーを焼き付ける感じの印刷なので、沈みがなく上質紙でもコート紙でも同じ色合いの発色が可能です。
オンデマンド印刷の注意点
大きなベタ刷りや全面写真が表紙全体にある場合、特に絵柄が濃い場合は注意が必要です。
オンデマンド印刷はトナーを熱で定着させて印刷をするため製本後の仕上げ断裁の時、
濃い絵柄は印刷部分に割れが生じ目立ってしまいます。また、表紙は傷がついたり折れたりすることが多くなりますので、下記のような絵柄は出来る限り PP 加工をお勧めいたします。

オンデマンド印刷では印刷方式上、広範囲なグラデーション、薄いグレーなどは表現仕切れない場合がございます。
※オフセット印刷との比較ですので、一般的な観点から見れば問題の無い範囲でございます。
